2018/01/27

ひきこもりの思い出~祖父の三回忌に寄せて~

名古屋行きの新幹線から見えた富士山

本日、祖父の三回忌がありました。祖父にはひきこもりから立ち直る際に大変お世話になりました。

学校に行かなくなった高二の時も、東大に入る前の一年間も、僕は名古屋の祖父母の家で過ごしました。二階の一室を間借りさせてもらい、自分を見つめ直す時間をいただきました。その間、祖父母は何も言わずに見守ってくれていました。名古屋での生活がなければ、今の自分はなかったと考えています。

そんな祖父が、4年前に転倒して緊急搬送されました。その後は入院生活となっていました。認知機能はだいぶ障害されていました。

亡くなる一ヶ月前、僕は祖父を見舞う機会がありました。祖父はホールで何をすることなしに車椅子に腰かけていました。顔は痩せこけ、ただ遠くを見ているような眼差しでした。

食欲は既になく、ゼリーしか口にしていないとのことでした。そのため四肢は浮腫んで赤紫に変色していました。

皮膚の表面もカサカサしていたので、僕は足に保湿剤を塗ることにしました。僕が塗りながら話しかけても、祖父は短く曖昧な返事をするだけでした。僕のことはもう忘れてしまったんだろうと思いました。

病院から帰る時間となりました。「お祖父ちゃん、帰るね」と声をかけると、しかし、思いがけない言葉が返ってきました。

「二階に泊まっていきゃあよ」

祖父ははっきりと言いました。その言葉を聞いて、名古屋での生活が次々と思い出されました。祖父は自分のことを覚えていてくれたのでした。

「今日は東京に帰らなければいけないんだ。また来るよ。」

これが祖父との最後の会話となりました。

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