主人公は、突出した能力を持たない平凡型の初期能力で、オマケに「弱気」「サボリぐせ」付き。ひきこもりを脱出したいという気持ちだけは強い少年を如何に一年間で合格に近づけるか、ハードモードだがやり甲斐はありそうだとワクワクしてきました。
まずは、攻略本を用意しました。ゲーマーには攻略本は欠かせませんでした。とりあえず、高校時代に買って放置していた和田秀樹の『新・受験技法』を開いてみました。
その本の中で、東大でも6割ちょい得点出来れば受かることを初めて知りました。完璧でなくとも合格できるというのは新鮮な驚きがありました。
今から思い返すと、「それまでの自分は相手を知らず、もがいていたなぁ」と、恥ずかしくなります。
次に、目標得点を合計で6割5分取れるように設定しました。すなわち、英語7割、国語6.5割、数学5割、地歴7割と設定しました。
これはパワプロで言う、ミート、パワー、走力、肩力、守備力という各パラメータに相当しますでしょうか。
僕はとりわけ得意な科目はなかったのですが、英語と社会は他の科目より好きでした。一方、数学は苦手意識がありました。
目標得点を科目別に分けて考えると、苦手な数学は半分取れればよいのだと、気持ちが楽になりました。
今までは、相手を見ずに「勉強しなきゃ」と余計な不安や焦りに囚われていたように思えました。
6割5分取れれば良いという目標を考えたとき、「必要な勉強は基本を押さえること」だと思い至りました。そこで簡単な問題を少しずつ解いて、基礎力を上げていくことにしました。
同時に、解ける感覚を身につけて無くした自信を取り戻し、「弱気」を払拭しようと考えました。
簡単な問題から解き始めたので、負担なく気楽に勉強に取り組むことができました。
一方、「サボリぐせ」をなくすために、思い切って名古屋の祖父母の家に下宿することに決めました。
親でもない他人でもない適度に緊張のある環境で暮らすことで、生活習慣や勉強習慣を整えようと目論みました。
一年間、祖父母には大変お世話になりました。親以外の家族がひきこもりに理解を示し、協力してくれたことは、僕の立ち直りの大きな後押しとなりました。
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毎日の記録。上部は勉強した内容、下部は感想。その日のやる気は右上に記録(great, good, normal, bad) |
さらに、生活習慣・勉強習慣をモニタリングするために、毎日、やる気の程度と、勉強した内容を簡単に記録していきました。
記録をつけていくと、やる気の周期性に気が付きました。疲れているとやる気は出ませんでした。そこで疲労を感じた時は、明日はやる気が出ると信じ、思い切って寝ることにしました。
「やっぱり自分はダメだ」と落ち込んだ時は、記録してきた勉強内容を振り返ることで、「ここまでは出来ているはず」と自分を鼓舞しました。
記録を通して、自分の心との向き合い方が上手くなっていきました。
このように、ゲームをプレイするように、気楽にスタートを切り、自分をキャラクターに見立て、自分を客観的に捉えなおし、攻略本を参照しながら、適切にシミュレートし、自分のやる気をモニタリングしながら、勉強を進めました。
結果的に、運よく東大に合格しました。焦りや不安を感じざるを得ない状況で、どれだけ楽しみながら無理なく引きこもりから脱出できるか。自分の心との付き合い方を学ぶ貴重な機会となりました。
今回はこの辺りで終わりとして、不登校・引きこもり生活の最後の1年で起きた具体的なエピソードはまたの機会にお話しできたらと考えています。
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