医師国家試験も無事終わりましたので投稿を再開いたします。
第110回医師国家試験問題冊子 |
今回の第110回医師国家試験では、「不登校生徒への対応」に関する出題がありました。医学教育の現場でも不登校に対する関心が高まっているのですね。せっかくですので問題(110G54)を掲載いたします。
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110回G問題54番。12歳男児、主訴「学校に行けない」 |
理由はいろいろと考えられます。友人関係、勉強関係、部活関係、家庭環境、発達課題など想像が膨らみますが、重要な点は「登校できなくなった」という言い回しではないでしょうか。この12歳の男児自身も登校したくとも登校できないくらい学校に対し拒否反応を示しているのでしょう。この「登校したいけど、登校できない、したくない」という葛藤は、「夜寝る前には『明日は学校に行く』と言って準備をする」という記述からも読み取れます。
しかし、朝になると、やはり学校に行けない、行きたくない自分に直面します。毎朝起こるこの葛藤と挫折は多大な心理的ストレスを与えかねません。そんなストレスに蓋をするかのように、少年はゲームやネットなどの「趣味」に没頭します。ゲームやネットは辛い現実から目をそらすための回避行動である一方で、ストレスを感じさせないための自分なりの対処行動とも捉えられます。
ここで、近くの診療所、おそらく内科を受診しますが、身体的な異常を認められず(器質的要因の除外)、今の症状は心理的要因、社会的要因が大きく関与することが示唆されています。
現時点での対応として適切なのは、勿論、eの「無理に登校させないように親を指導する」でしょう。無理に登校刺激をしてしまうと、「行きたくても行けない辛さを親はわかってくれない」と親に対し失望し、親子の信頼関係を損ねてしまうかもしれません。
まずは、無理には登校させないことによって、男児の「行きたくとも行けない」という葛藤や辛さに共感することで、自分たち親は男児の味方だということを示す必要があります。親が味方とわかれば、男児は安心して気力を養うことができますし、また、悩みを打ち明けてくれるかもしれません。
不登校は一朝一夕では解決しませんが、辛抱強く見守り続ければ、必ず立ち直る日は来ます。そのためにも、まずは「行きたくとも行けない」子供の立場に共感し、親子の信頼関係を築いていくことが大切ではないでしょうか。
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