2016/04/24

【もとひきこもりの研修医日記】どきどき初当直その2

前回のあらすじ~初当直のしろくまは夜の病棟で手の甲から点滴を試みるのでした~
しかし、今回の患者さんは手が少し浮腫んでいて、手の甲には血管が見当たりませんでした。

でも諦めませんでした。さらに指先まで観察して見ると、小指のつけ根に長さ2cm弱の血管が浮き出ているのを発見したのです。

もうここから刺すしかないと決心しました。

アルコール綿で消毒して、いつも使うのより細い23ゲージの針を持ち、周りの皮膚を引っ張って、いつもよりも浅めの角度で穿刺しました。

入れ!

心のなかで静かに叫びました。
 針の根元に血が逆流してくるのがみえました。

やった。

ひとまず成功です。あとは血管内に留置する外側の筒を滑らせるだけです。

しかし、これがまた慎重を期します。針を持つ右手を絶対に動かさないようにして、左手で少しずつ少しずつ外筒を滑らせました。

ふぅーっ、うまくいきました。

駆血帯を外して、内針をパチンと抜きました。

あとはちゃん点滴が落ちるかどうかです。点滴セットを繋いで、クレンメを全開にしました。

落ちました、ちゃんと。

しかし、ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、重大なことに気づきました。

どうやって固定しよう汗

刺すことばかりに夢中になって、固定する方法を考えていませんでした。
通常の前腕での固定ならば片手でも出来ますが、指の根本では安定性に欠けて、一人で固定するのは難しいように思えました。

案内してくれた看護士さんはいつの間にか居なくなっていたので、仕方なくベッドのそばにあったナースコールを押しました。

「点滴は入ったのですが、固定を手伝ってください」

最後まで一人で出来なかったのは少し恥ずかしかったのですが、素直に協力を求めました。

流石、看護士さんで、テープにハサミを入れながら手早く小指に固定してくれました。

何とか挿し換え終了です。じわじわと達成感が湧いてきたところでしたが、看護士さんに釘を刺されました。

「部位的に安定性に欠けるから抜けるかもしれない。そうしたらまた呼びます」

確かにそうだなと反省しました。

次、もっとうまく刺すにはどうしたらいいだろうと考えながら真っ暗な病棟を歩いて当直室に帰りました。

結局それから連絡は来ませんでしたが、心配だったので次の日におばあさんの病室を訪れてみました。

おばあさんは寝ていましたが、その左手の小指にはしっかりと点滴が固定されていました。

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