当直業務がこなせるかとても不安な毎日を送っていました。その不安をかきけすように採血や電子カルテ操作を練習してきました。
当直業務は夕方17時から朝8時半まで。主な業務は病棟患者の点滴の挿し換えや頓服処方、指示変更、救急外来のカルテ記載と入院手続きです。
PHSが鳴ってほしいような鳴ってほしくないような両極端の思いのなかで当直室でそわそわとしていました。
点滴の挿し換え
23時、遂にPHSが鳴りました。点滴を挿し換えてほしいとのこと。急いで病棟に向かいました。夜の病棟はナースステーション以外は真っ暗でした。看護士さんに案内されて入った病室にはおばあさんが横になっていました。
身体的障害のため左上肢しか点滴を刺せないとのことでしたが、その左腕にもすでにガーゼテープが2箇所張られていました。どうやら看護士さんも点滴を試してみたけれど、うまくいかなかったようです。
これは難しいかもしれないと思いました。何年も勤めている看護士さんでもできなかった手技が、たった2週間の経験しかない研修医にできるだろうかと。
しかし、患者さんにそれを悟られてはいけないので、なるべく落ち着いた振る舞いで自己紹介をして、患者さんの手をそっと握りました。
それは先輩医師から、患者さんの手を握ってあげると安心感を与えられると習ったからでした。
これから点滴を挿し換えること、なるべく一回で終わらせるから少し我慢してほしいことを伝えて、左上腕に駆血帯を巻きました。
通常、駆血帯を巻くと、静脈が怒張して「見えやすく」「触れやすく」なります。
しかし、今夜はある意味想定通り、前腕橈側(肘から手よりの親指側)の静脈は浮き出て来ませんでした汗
困りました。見えなくて触れない静脈にチャレンジして失敗しては患者さんに余計な苦痛を与えてしまいます。
一旦駆血帯をほどいて、深呼吸をしてから、もう一度駆血帯を巻きました。
やはり見えてきません。そこで奥の手に出ました。
よし、手背(手の甲)からとってみよう。
学生時代に麻酔科の先生から、手の甲は肘より痛いけれど、血管が浅いので刺しやすいと習っていました。
しかし、今回の患者さんは手が少し浮腫んでいて、手の甲には血管が見当たりませんでした。
でも諦めませんでした。さらに指先まで観察して見ると、小指のつけ根に長さ2cm弱の血管が浮き出ているのを発見したのです。
もうここから刺すしかないと決心しました。
...
長くなったので次回に続きます(コチラ)。
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