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しろくま病棟のスイカ |
現在、しろくまは30人の患者が生活する病棟を担当しています。
ほとんどが急性期を過ぎた統合失調症の患者さんで、それぞれが退院に向けて取り組んでいます。
統合失調症の患者さんは岡田尊司先生がおっしゃったように、裏表のない純粋な方が多く、人としてとても素敵な方ばかりです。症状もコントロールされている方がほとんどですので、友人と共同生活をしているようです。
しろくまの病棟には中庭があり、そこに小さな菜園があります。歴代の研修医は夏が近づくと、そこに思い思いの植物を植えます。
この病棟に配属が決まったときから、しろくまはスイカを植えることに決めていました。病棟でスイカ割りができたら、みんなで楽しめるだろうと考えたからです。
とはいえ、しろくまは植物を育てることは小学生以来で、何から始めてよいやらわかりませんでした。
とりあえずスイカの育て方が載っている本を買いました。土の耕し方、肥料のやり方、苗の選び方、受粉の仕方、どれも知らないことばかりでわくわくしました。
さっそく園芸店で小玉スイカの苗を買いました。土を耕し、肥料を撒いて、苗を植えました。
毎日、水をやりました。しろくまが病院にいない日は患者さんが水やりを買って出てくれました。
蔓は地を這うように順調に伸びて、1か月程度で蕾がつき、数日後に黄色い小さな花が咲きました。感動しました。
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スイカの雌花。がくの下に子房。 |
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スイカの雄花 |
恥ずかしながらスイカには雌花と雄花があることを知りませんでした。雌花にはがくの下に子房(将来、実となる部分)が膨らんでいました。
雄花を摘んで雄しべの葯に着いている花粉を雌しべの柱頭に擦り付けて受粉させました。
数日後、花は枯れ落ちて、実だけが残りました。少しだけ大きくなっている気がして期待が膨らんだ矢先。次の日に実がなくなっていました。
よく見ると、だんご虫が大量発生していました。虫たちによって食べられていたのでした。
そこで、支柱を刺して立体耕作にしてみました。支柱と蔓との固定には使用期限の切れた縫合糸を用いました。ほどなく、また実を結びました。今度は大丈夫。そう思っていた矢先。またもや実がなくなっていました。
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スイカの立体耕作 |
なぜだろうと考えていると、患者さんが、すずめが実を啄みにきていたと教えてくれました。虫の次は鳥でした。家から排水口ネットを持ってきてそれを実に被せることにしました。
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スイカ泥棒対策。鳥よけのネット |
ネットは奏効したようです。現在、実は鵞卵大に膨らんでいます。このまま大きくなってくれれば、念願のスイカ割りができそうです。
病棟にあった七夕飾りに「スイカ割りができますように」と記しておきました。
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追記:スイカ割り、できました(
コチラ)
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